総合職車両・機械系統
齋藤 広太
車両・機械系統は、鉄道車両の開発、設計、メンテナンスなどを行う車両部門と、駅の機械設備や車両メンテナンス機械の開発、設計、管理などを行う機械部門の大きく2つに分かれており、幅広い業務があります。また、鉄道輸送のさらなる安全性、安定性、快適性の向上をめざして、さまざまな技術開発を行っています。
中央新幹線計画に関しては、超電導リニア車両の開発、設計、走行試験のほか、地上コイルや乗降装置といった駅・沿線の機械設備、メンテナンス設備の開発、設計、管理などを行っています。
いずれも鉄道輸送の安全性、安定性、快適性を支える上で欠かせない業務であり、「社会的ニーズ」や「お客様のニーズ」に対し、“技術者”として活躍できます。
在来線・新幹線の車両の開発・設計から、メンテナンス・改造等の業務を行っています。
例えば、東海道新幹線の最新型の車両N700Sは、より一層の安全性・安定性と省エネルギー化を追求するとともに、高速鉄道では初めて停電時でもバッテリーを使用して走行可能なシステムを開発・搭載することで異常時対応力を強化しています。また在来線においても、ハイブリッド方式を採用した新型特急車両HC85系を開発・設計し、営業運転を開始しました。いずれも様々な最新技術を開発し、車両設計へ反映しています。
また、これまでに培ってきた高い車両メンテナンス技術に加え、更なる安全性向上のためにICT技術の導入により車両状態を地上でモニタリング可能なシステムを開発し車両メンテナンスに活用することで、高品質で効率的なメンテナンスの構築にも取り組んでいます。
鉄道の営業・運転に欠くことのできない、自動券売機や自動改札機などの出改札機器やホーム可動柵といった駅設備、エスカレータやエレベータに代表されるバリアフリー設備や、普段はお客様の目に触れない車両のメンテナンス設備など、幅広い機器の開発、設計、管理、メンテナンス業務を行っています。これらの設備は、鉄道の安全、安定輸送や旅客サービスの面でも重要な役割を担っている必要不可欠な設備であり、最近では、ICカードサービスやホーム可動柵も積極的に展開するなど、さまざまなシステム展開や新規設備開発を行っています。また、各機械設備をネットワークで繋ぎ、設備の稼働状況や故障状況を遠隔でリアルタイムに把握できる機械状態監視システムを導入し、故障発生時の原因究明・復旧の迅速化やメンテナンスの省力化など、高品質で効率的なメンテナンスの構築にも取り組んでいます。
中央新幹線に投入する超電導リニア車両の開発・設計を行っています。現在、山梨リニア実験線において、長期耐久性やコスト低減などの検証のための走行試験を重ねており、走行試験の運営、測定、データ解析業務のほか、車両のメンテナンスなども行っています。また、走行試験の結果を開発、設計にフィードバックすることにより、より良い車両の実現をめざしています。中央新幹線の営業運転開始に向け、引き続き、高温超電導磁石等のリニア技術の更なるブラッシュアップや、ICT等の最新の技術を活用した効率的な保守の開発・実証、に取り組むとともに、改良型試験車の走行試験を実施して営業線車両の仕様策定を進めています。
超電導リニアに用いられているリニアモーターや浮上・案内機構は、車両側の磁石と地上側のコイルで構成されていますが、この地上側コイルの開発、設計、設置、メンテナンスを行っています。また、乗降装置や分岐装置、車両メンテナンス設備の技術開発、設計、設置、メンテナンスも行っており、飛躍的に拡大しているフィールドです。 今後は、中央新幹線の営業運転開始に向け、引き続き営業線建設工事を計画的に進めるとともに、将来の鉄道運営や、メンテナンスの確立に向けて取り組んでいきます。
愛知県小牧市の自社研究施設にて、ユーザーである鉄道事業者ならではの視点で術開発を行っており、その成果は新型の車両や設備の設計に活かされています。研究施設では、大型試験装置を活用した定置試験や、走行試験などのデータ解析を通じて、実際に起こっている現象を正確に把握した上で、さらなる安全・安定輸送や、より高いレベルでのサービスの提供、メンテナンスの省力化、などの実現に向けた技術開発テーマに取り組んでいます。