総合職電気・システム系統
野林 直哉
電気・システム系統は、最先端の電気技術を応用した設備の開発、仕様検討、導入、メンテナンスを行い、巨大な鉄道電気システムのインテグレーターとして高い安全性と正確かつ高密度な鉄道オペレーションに貢献しています。具体的には、電力設備(列車運行に必要な電力を供給する電気鉄道のトータルシステム)、信号通信・運行管理システム(列車の安全を確保し、列車運行を集中制御する鉄道オペレーションのトータルシステム)、情報システム(EX-ICなど快適な旅客サービスを提供するトータルシステム)を扱っています。
また、超電導リニアは地上の電気設備がリニア車両を制御するシステムであり、中央新幹線の建設において、電気・システム系統の役割はますます重要になっています。
鉄道事業(電力)
変電設備(電力会社から受電した電力を列車の動力源に適した電力に変換する設備)、電車線路設備(鉄道変電所から車両に電力を供給するトロリ線等の設備)、電灯電力設備(信号機器や駅の各種設備に電力を供給する設備)について、維持管理や改良に関わる計画、設計・施工監督などを行います。また、加減速に伴い変動する等、電気鉄道特有の負荷に対し安定した電力を供給するために、鉄道変電所独自の制御技術の開発や、高速走行時に安定して集電するための架線構成の検討などにも取り組んでいます。
鉄道事業(信号通信)
安全・安定な列車運行の根幹に関わる信号保安設備、列車運行と旅客サービスに欠かせない各種通信設備、列車の運行を一括で制御する運行システムについて、維持管理や設備改良の計画、設計、施工監督などを行います。信号保安設備には、高速・高密度な東海道新幹線の列車間隔や速度を自動制御するATC(自動列車制御装置)をはじめ、在来線の安全を確保するATS(自動列車停止装置)、列車の進路を安全に制御する連動装置、道路と交差する踏切での安全を守る踏切保安装置などがあります。また通信設備には光ファイバー網などの通信インフラや列車無線、旅客サービスに必要な駅案内放送装置などがあります。運行システムの代表的な設備は、東京~新大阪間の高密度な新幹線の運行を一括で制御する新幹線運転管理システム(COMTRAC)があります。
技術開発
東海道新幹線や在来線の安全性、正確性、快適性、速達性、環境適合性の一層の向上、省力化やコスト低減の追求といった鉄道技術のさらなる深度化を図るための技術開発を実施しています。鉄道における最先端の電力技術や信号技術、情報通信技術に関する研究や、メンテナンスに関わる研究など、さまざまな試験装置を活用し鉄道技術のより一層のブラッシュアップと新しい分野への挑戦に取り組みます。
建設工事
鉄道の安全・安定輸送と旅客サービスを支える各種電気設備について、大規模な工事の計画、仕様や工法の検討、設計および施工監督を担当します。お客さまや働くスタッフといったユーザー側のニーズを汲み取った上で設計し、確実な工事、施工管理を行っています。具体的には駅の新設や線路増設、電化工事など大規模な電気設備工事や、超電導リニアによる中央新幹線に関わる建設工事などを担当します。
情報システム
お客さまへのサービスに関わる情報設備、社内ネットワークの開発や管理を行います。チケットレスでスムーズな新幹線の利用を可能とする「EX-ICサービス」など旅客サービスに直結するシステムのほか、社員が日々利用する社内情報ネットワークなど様々なシステムの仕様策定・管理を担当しています。
超電導リニア
超電導リニアによる中央新幹線計画を推進していくにあたって、超高速走行での安全な運行管理、列車制御、電力変換、保安制御、情報伝送など多岐にわたるシステムの仕様検討、開発および現地実設備での確認試験などを行っています。超電導リニアは新幹線や在来線と異なり、地上の電気設備の出力を制御して車両の速度をコントロールする仕組みとなっているため、電気・システム系統は動力供給に加え列車を制御するという重要な役割を担っています。また、列車運行を統括制御する各種保安システムや運行管理システム、地上設備間や車上地上間での円滑な情報伝達や快適な旅客サービスの提供を可能にする通信設備などを担当しています。