総合職施設系統
白澤 翔平
施設系統は、鉄道の安全・安定輸送の確保や輸送サービスのさらなる向上を目的とした、土木・建築関係のインフラストラクチャーに関わる業務全般に携わっています。その業務範囲は、鉄道システムの基盤を成す「線路」「土木構造物」「駅などの建築物」における、中長期的な施策に関わる企画から、橋りょう新設、高架化、駅改良といった建設プロジェクトの推進、新幹線・在来線の各種構造物・設備の保守まで、極めて広範囲にわたります。
また、中央新幹線の推進に関しては、用地取得や工事契約など本格的な工事の着手に向けた準備や工事計画の着実な推進、営業へ向けた各種構造物・設備に関する技術開発などを行います。
鉄道をさらに発展させるため、中長期的な展望と経営資源の俯瞰的な把握・分析に基づく総合的な観点から企画・立案し、社内外の関係者と調整・協議を進めながら実現へと導きます。具体的には、中央新幹線の建設、東海道新幹線・在来線における新駅の建設、駅設備の改良、鉄道と道路の立体交差化、鉄道関連施設の耐震補強などの大規模工事や駅ビル・高架下等における沿線事業開発を担当し、プロジェクトの調査・計画段階から設計・発注・工事監理に至るまで主体的に携わります。
発注者側のエンジニアとして専門知識を活かし、現状や将来像を調査・分析・予測し、社内関係箇所や行政機関などと調整・協議を行い、着工に向けた準備を行い、設計会社・建設会社と調整を図りながら、設備のユーザーであるお客さまや駅係員などのニーズ、建設後の維持管理を踏まえた設計を実施し、安全かつ確実に工事を推進します。
東海道新幹線や在来線の構造物に関わる保守業務を担当します。鉄道の日々の安全・安定輸送を支えるだけでなく、より快適な輸送サービスをお客さまに提供するため、鉄道システムの基盤を成す線路や橋りょうなどの土木構造物、駅舎などの建築物について、設備状態・人的資源・コストなどの面から総合的に判断した上で構造物を最適な状態に維持管理していくとともに、設備更新、地震対策などの構造物の強化を行います。具体的には、線路や土木構造物・建築物などの検査の計画・実施と検査結果の分析、分析結果に基づく修繕・改良工事などに関する計画、設計、発注、工事監理などを行います。現在、東海道新幹線における土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事を推進しているほか、地震対策として東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策や在来線高架橋柱の耐震補強、駅の吊り天井の脱落防止対策を進めています。
東海道新幹線や在来線の安全性、正確性、快適性、速達性、環境適合性などの一層の向上、省力化やコスト低減の追求といった鉄道技術の深度化を図るため、中長期的な技術戦略に基づいた技術開発を行います。具体的には、線路や橋りょうなど土木構造物の健全性を合理的に維持管理する技術の開発や、地震など自然災害に対するリスクを最小限に抑えるために構造物を強化する新しい耐震補強工法の開発など、鉄道の日々の安全・安定輸送を確保する上で必要となるさまざまな課題に対して、列車走行時を再現して載荷可能な大型試験装置や、実際と同じ仕様の試験用高架橋などを活用して技術開発を進めています。また、中央新幹線について、営業線仕様の具体的な策定や建設・保守のコスト低減などに関する技術開発を進めています。