私の創造

チャレンジすれば未来は開けてくる。鉄道も、自分のキャリアも。

プロフェッショナル職(大学卒)(施設)
新名 祐輔

仕事

ICTの活用により、土木構造物の維持管理革新を推進。

組織を越えた、DX戦略を見据えて。

現在私は、業務の高度化・効率化を推進する一つの方法としてICTを活用した技術開発に取り組んでいます。
鉄道の運行に必要となる設備は多種多様であり、それらは運転、車両、土木、保線、電気などの部門ごとに管理されています。そして設備管理の際は、設備一覧表および図面を利用することが一般的です。このようなアナログな業務を改善すべく、当社ではそれぞれの業務に合わせたシステム化を推進し、業務の効率化を実現してきました。しかし一方ではそれぞれが独立したシステムのため、部門・組織を横断した連携に手間がかかっていました。そのため、効率的なデータ連携を図るとともに、在来線、東海道新幹線、リニア中央新幹線の三世代の鉄道が運営される将来を見据え、全社で横断的な情報共有を図ることを目的とした情報共通基盤の開発に取り組んでいます。一例として進めているのが、GIS(地理情報システム)を活用した情報共通基盤の構築です。鉄道における共通データには線名や線区、キロ程などがありますが、これらはすべて緯度経度の位置情報を持っています。これを部門や組織を横断する際のマスター情報とすることで、情報共通基盤を構築していくわけです。この情報共通基盤の上でデータの共有や高度な分析が行われることで、例えば設備の老朽化に伴う変状を予測し、事前に修繕計画を立案するといったことも可能になるでしょう。
鉄道は経験工学だと言われます。長い間に培ってきた経験や知見は何ものにも代えがたい財産であることは間違いありません。一方でDX(デジタルトランスフォーメーション)は大きな時代の流れであり、私たちの業務も変革のときを迎えています。その中で私自身がフロントランナーとして全社の情報共通基盤となり得るシステムの開発に携われることは、大きな喜びです。

 

土木構造物の新たな維持管理体制を構築したい。

今まで印象的だったことの一つが、プロフェッショナル職を対象とした社内選抜型研修の「フォアランナー研修」に参加したことです。研修ではアメリカでのホームステイも体験しました。私にとって初の海外体験となり、大いに視野を広げることができました。また語学学校で知り合った各国の仲間たちは好奇心や探究心が高く、学ぶことに対しても非常に貪欲でした。その姿には大いにインスパイアされ、私の意識もより主体的なものへと大きく変わったと思います。
私は学生時代に土木を専攻し、入社後も土木構造物の維持管理業務に長く携わってきました。2021年に総合技術本部技術開発部に異動となり、ICTを活用した技術開発に取り組むことになったときは、まったくの専門外の領域ということで驚いたものでした。私にとって未知の領域へのチャレンジです。同時にそれは自分の可能性を広げ、キャリアアップの道を開いていくチャンスでもあると受け止めました。そこでICTについて基礎から学び始め、関連する資格の取得にも挑戦し、専門知識を身につけていきました。このように当社ではチャレンジする姿勢さえあれば自ら道を開いていくことができるのです。
将来は東海道新幹線の土木構造物について今回私が携わった情報共通基盤を活用したDX化をさらに推進し、構造物の劣化予測を考慮した新しい維持管理体制の構築に取り組みたいと思います。またそれらを海外の高速鉄道向けに輸出できたらと考えています。私の挑戦はこれからも続いていきます。

 

キャリア

土木構造物のプロとして磨いた知見をベースに業務を高度に発展させる

'09-4月新入社員研修
富士山が見える総合研修センターで、同期の仲間とともに寝食をともにしながら鉄道の仕事の基礎の基礎を学びました。さまざまな課題に力を合わせて取り組んだことは、今でも鮮明に記憶に残っています。
'09-8月新幹線鉄道事業本部 東京保線所
担当工事の現場確認を行っていたときに発生したのが3.11東日本大震災。すぐに土木構造物の点検に向かいました。社員一丸となって全力で取り組み、当日中の運転再開ができたことに、当社の強さを感じました。
'11-7月新幹線鉄道事業本部 大井保線所
「分岐器グランプリ」に出場したことが一番の思い出です。分岐器は自分にとって専門外でしたが、訓練用分岐器や本線で使用するレールを実際に触って学んだことは、今でもしっかり覚えています。
'12-7月新幹線鉄道事業本部 施設部工事課
跨線橋の維持管理工事における列車運行の安全を確保した施工計画、施工管理および技術等の指導業務を担当しました。社外の方々と接する機会が多く、コミュニケーションの大切さについて学びました。
'14-7月シーエヌ建設株式会社(出向)
JR東海グループの建設会社に出向し、名古屋駅周辺の新幹線大規模改修工事の現場監督を担当しました。大勢の作業員をまとめ上げて現場を動かしていくのは簡単なことではありませんでしたが、人を巻き込み、力を貸してもらった経験は、自分の財産になりました。
'16-7月新幹線鉄道事業本部 施設部工事課
東海道新幹線の防音壁や線路防護柵の設計を担当しました。学生時代の構造力学の教科書を引っ張り出して、四苦八苦しながら進めました。自分で設計した構造物が実際に現地に設置されたところを目にして、設計業務の責任の重さとやりがいを感じました。
'17-4月総合研修センター 新入社員インストラクター
新入社員1クラス約20名のインストラクターを担当しました。あのときの教え子たちがそれぞれの職場で活躍している姿を目にすることは、今の私にとって活力の源となっています。いつまでも教え子たちの模範でいられるよう頑張ります。
'17-6月新幹線鉄道事業本部 施設部工事課
コンクリート構造物の新幹線大規模改修工事を担当しました。現場での工事は仕様書や図面の通りにはいかないことが珍しくありません。私は現場からの相談窓口としてそれらの相談事1つ1つに対応しました。安全を最優先にしつつ、工期に遅れが生じないように、スピーディーな解決を心がけました。また途中で約5カ月の「フォアランナー研修」に参加しました。
'21-7月総合技術本部 技術開発部 土木構造物技術チーム鋼構造・コンクリートグループ取材当時
全社的なICT活用による業務の高度化・効率化をめざし、技術開発に取り組みました。
'23-7月新幹線鉄道事業本部 熱海保線所
東海道新幹線で新丹那トンネルをはじめとする、トンネル区間を最も長く保守管理する保線所の土木助役として、構造物の保守や工事に携わっています。部下とのコミュニケーションを大切に、日々の業務に取り組んでいます。

これからめざすもの

何百年何十年先も東海道新幹線が安全に走り続けるために、ICTを活用した土木構造物の維持管理体制を構築していきたいと思います。

プライベート

  • ラグビー日本代表を応援
    高校・大学とラグビーに打ち込んだこともあり、今もラグビー観戦が大好きです。国内リーグの観戦はもちろんのこと、先日は友人と新国立競技場で、ユニフォームをまといながら日本代表を応援しました。
  • 会社の仲間とスノーボード
    先輩からの誘いをきっかけに、入社1年目からスノーボードを始めました。毎年、会社の仲間で穴場のスキー場に行くことを楽しみにしています。
新名 祐輔

Profile

新名 祐輔

プロフェッショナル職(大学卒)(施設)
総合技術本部 技術開発部 ※取材当時
2009年入社
工学部建設工学科卒