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技術開発・技術力強化への取組み

鉄道の未来を創造する研究開発

JR東海における研究開発

小牧研究施設
鉄道の研究開発の基本的なサイクル

当社が将来にわたって使命を果たし、発展していくためには、日々の安全の確保に不断に取り組むこと、より快適な輸送サービスを追求していくことに加え、技術開発を通じてこれらを支える基盤となるハードウェアや仕組みを構築していくことが不可欠です。鉄道事業者の技術開発においては、個々のハードやソフトに関する成果を組み合わせて、それを輸送サービスや業務運営の仕組みに反映するところまで作り込んで初めて事業としての価値を生むこと、鉄道事業が社会・経済情勢等に大きく左右されること等を念頭に置く必要があります。当社では、より一体的かつ総合的に技術的諸課題に取り組むため、2002年愛知県小牧市に開設した研究施設において、中長期的な視点から会社施策に資する課題を設定し、その解決に向け計画的に技術開発を進めています。

小牧研究施設の特色の1つは、様々な設備で構成される鉄道において、理論解析だけでは解明が難しい現象を検証するための実物大の大型試験装置を所有している点です。これにより、鉄道の研究開発の基本的サイクルである「フィールドにおける現象の把握」、「理論解析とシミュレーション」、「試験装置による検証」を自社で実施することができ、当社独自の様々な研究開発成果が実用化されてきました。

車両運動総合シミュレータ
試験トラス橋
電車線試験装置(走行台車)
車両走行試験装置

より安全性を高めるための技術開発

こうした試験装置などを用いて、小牧研究施設ではより安全性を高めるための技術開発を推進しています。
例えば、地震や豪雨等の自然災害に対しては、災害をより的確にとらえる技術、被害を抑える技術、被災からの早期復旧につながる技術開発を行ってきました。
大規模地震に対しては、設備の耐震補強、列車を早期に止めるための地震検知手法の改良や地震観測網の拡充に加え、新幹線ではブレーキ距離の短縮、地震時の車両の脱線と線路からの逸脱を極力防止するための対策や、長時間停電時にお客様の避難が容易な場所まで自力走行を可能とする「バッテリ自走システム」を開発しました。
豪雨等の異常気象に対しては、設備の強化に加え、在来線では土砂災害の発生危険度の把握に優れた指標である「土壌雨量」の検証や、線路から離れた場所を発生源とする土石流の危険度を評価する「土石流発生危険度評価システム」を開発し、運転規制を実施しています。
また、車両の異常を検知する仕組みとして、安全にかかわる新幹線の全台車の状態を常時監視する「台車振動検知システム」や、その技術を在来線の気動車に応用した「気動車向け振動検知システム」を開発しました。

業務改革の推進に向けた技術開発

加えて、社会の変化やお客様のニーズに的確に応え、かつ設備投資や事業運営のコストを抜本的に低減させるため、安全の確保を大前提とした上で、車両や地上設備の維持更新におけるコストダウン、ICT等の先進技術を活用した効率化等の技術開発も推進しています。

メンテナンス業務の改革では、高頻度に地上設備の状態把握を行い、タイムリーに保守作業を行うことを目的とし、営業車で地上設備の監視を行うことのできる「トロリ線状態監視システム」「ATC信号・軌道回路状態監視システム」「軌道状態監視システム」や、光ファイバを用いてトロリ線の摩耗状態を常時監視できる「新型警報トロリ線摩耗検知システム」を開発しました。このほかにも、N700Sに架線電圧を維持する機能の一部を担う新機能を搭載することにより、新幹線の輸送力を保ったまま、一部の変電所や電力補償装置を削減できる技術を開発しました。

今後も、新技術の導入、データ分析評価、積極的保全の3つを基軸とし、センシング、画像認識技術、最新の情報通信技術、大量データ解析、ロボット等の新しい技術を活用して、業務の高度化、省力化、低コスト化を図るための技術開発を進めていきます。