沿線都市と移動の価値を高め、
豊かな暮らしを実現する
グループ事業概要

鉄道をご利用になるお客様をはじめ、多くの方が集まる駅は、JR東海にとって重要な経営資源です。この資源を活用し、「JRセントラルタワーズ」や「JRゲートタワー」などの高層複合ビルの開発を手掛けています。両ビルは中部圏の経済発展に大きく貢献し、名古屋駅のランドマークとして定着しています。
名古屋駅直上の高層複合ビルである「JRセントラルタワーズ」では百貨店、ホテル、オフィス等の事業を展開しており、2000年の全面開業以降、当社の関連事業収益は大きく増加しました。「ジェイアール名古屋タカシマヤ」は2020年度に食料品売場の大規模リニューアルを実施し、さらなる収益の確保につなげ、「名古屋マリオットアソシアホテル」は駅直上の立地や高層階からの眺望、グレードの高いサービス・設備等により多くのお客様から好評をいただいております。
2017年に全面開業した「JRゲートタワー」は、商業施設、ホテル、オフィス等で構成された高層複合ビルで、入居する「タカシマヤ ゲートタワーモール」は、約160のファッション・雑貨等のショップを集積し、隣接する百貨店との相乗効果が期待できるカテゴリー・価格帯のショップを取り揃えています。家電量販店の「ビックカメラ」、アパレルカジュアルの「ユニクロ」、「GU」のほか、フィットネスクラブや保育施設なども入居し、「JRセントラルタワーズ」にない施設・サービスを加え、2館での魅力を一層高めています。
なお、ジェイアール名古屋タカシマヤは市中での事業展開も行っています。2021年7月には、日本最大級の高級時計売場「ジェイアール名古屋タカシマヤ ウオッチメゾン」を大名古屋ビルヂングに出店したほか、2022年3月には、ジェイアール名古屋タカシマヤのデパ地下で培ったノウハウを活かして、愛知県岡崎市のイオンモールに「ジェイアール名古屋タカシマヤ フードメゾン 岡崎店」を出店しました。
東京駅では、「東京キャラクターストリート」「東京ラーメンストリート」「東京おかしランド」「東京グルメゾン」「にっぽん、グルメ街道」や、2020年8月にオープンした彩り豊かなギフトが揃うお土産・手土産の専門店「東京ギフトパレット」などのゾーンで構成する商業施設「東京駅一番街」を運営しています。常に魅力ある商業施設となるよう、これまでにさまざまなリニューアルにも取り組んでおり、国内外のお客様から好評をいただいています。
新横浜駅では、駅直上の商業施設「キュービックプラザ新横浜」・「ホテルアソシア新横浜」・オフィスで構成する複合施設「新横浜中央ビル」や、隣接するカジュアルな飲食店を集積した「ぐるめストリート」を運営しているほか、駅改札内の一部ゾーンにも店舗を展開しています。家電量販店「ビックカメラ」やアパレルカジュアルの「ユニクロ」、「GU」をはじめ、バラエティ豊かな店舗が揃っており、オフィスワーカーをはじめ観光やビジネスで鉄道駅をご利用のお客様や近隣にお住まいの方など、多くのお客様から好評をいただいています。
静岡駅では、2018年10月~11月にかけて、駅ビル「パルシェ」食彩館のリニューアルを実施し、前年度改装した本館と併せてグランドオープンしました。また、商業施設「アスティ静岡」においては、2019年7月に東館を、2020年7月・11月には西館を続けてリニューアルし、鉄道駅をご利用のお客様の多様なニーズにお応えし、好評をいただいています。
豊橋駅では、駅ビル「カルミア」を運営しており、駅ビル開業50周年を迎えた2020年7月に、食料品フロアとレストランフロアを中心にリニューアルを実施しました。生鮮三品(青果、精肉、鮮魚)や惣菜など食の品揃えを充実させたほか、併せてエントランス部や共用部、施設ロゴの刷新を行い、新しい「カルミア」のイメージを醸成しつつ、街の玄関口としての役割を果たし続けています。
名古屋駅では、駅構内のレストランゾーン「名古屋うまいもん通り」を2017年12月に広小路口側にもエリアを拡大し、人気の「名古屋めし」などカジュアルな店舗を取り揃え、バリエーション豊かなお食事、お買い物を楽しんでいただけます。また、全国の人気店やご当地ラーメンを集めた「名古屋・驛麺通り」を2016年11月に全面リニューアルし、リニューアル以降も定期的に店舗の入替を行うなど、魅力ある商業施設づくりに取り組んでいます。
京都駅では、商業施設「アスティ京都」を運営しています。レストランゾーン「京都おもてなし小路」には、京の老舗店舗や京都でおなじみの人気店が集結しています。新幹線改札内では直営店舗も運営し、京銘菓をはじめとしたお土産を幅広く取り揃えています。また、施設のデザインには格子を使用するなど、ご利用されるお客様により京都らしさを感じていただけるよう工夫を凝らしています。
この他にも、在来線主要駅ではお客様の多様なニーズにお応えできる駅商業施設を展開しています。2022年10月には尾張一宮駅の「アスティ一宮」をリニューアルし、生鮮三品(青果、精肉、鮮魚)や日用品を取り揃えることで、鉄道ご利用のお客様に加え、近隣にお住まいの方にも日常的にご利用いただける商業施設となり賑わいを創出しています。
2022年2月には駅やホテルの人気商品やオリジナル鉄道グッズ等を取り揃えた多彩なオンラインショップが集う新ショッピングサイト「JR東海MARKET」を開設し、EC事業の強化にも取り組んでいます。JR東海グループ以外の企業との連携をさらに進め、ショップ数や商品数を増やすとともに、本サイトと実店舗を連携させることで、駅を便利かつ快適にご利用いただける取組みを推進します。
さらに、廃車となった新幹線の車体アルミをリサイクルした「新幹線再生アルミ」を建材等に成型して外販するマテリアルリサイクル事業を推進したり、賞味期限の迫った食品を無人販売する食品ロス削減ボックスをグループ会社で設置したりして、「脱炭素」などの社会課題の解決と「SDGs」達成に向けた諸施策を展開していきます。
将来にわたって安定した経営を維持し、より一層の成長を遂げるためには、収益基盤の拡大が必要です。JR東海はグループ会社と一体となり、「JRセントラルタワーズ」や「JRゲートタワー」など、駅立地を十分に活かした事業をはじめ、鉄道との相乗効果が期待できる分野を中心に事業展開し大きな成長を遂げてきました。しかし新型コロナウイルス感染症により経営環境が一変したことを受け、グループ事業は鉄道に依存してきた従来のビジネスモデルから脱却し、当社グループの強みを生かしながら事業領域を拡大していく必要があります。新たなライフスタイルに適した街づくりや生活サービスを提供して沿線都市の価値を高めるとともに、鉄道の乗車マエ・ナカ・アトの一連の移動をより便利で快適な感動体験に引き上げることに積極的に挑戦していきます。
また、コロナとデジタル技術の進展が相まってお客様が自身の嗜好や意志によりあらゆる消費行動を選択していく時代が到来する中、お客様を一人ひとりの顧客と捉える顧客視点で商品・サービスを考えるよう発想を転換する必要があります。お客様を深く理解し、ニーズを捉えて収益獲得機会につなげていくために、お客様を「乗車するヒト」「地域を訪れるヒト」「地域に住む・働くヒト」の3つのステークホルダーとして捉え直すと共に「沿線自治体・事業者」を加えた4つのステークホルダーを常に意識することで、顧客視点のサービス提供を徹底していきます。