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超電導リニアによる中央新幹線

将来にわたり使命を全うするために

超電導リニアによる中央新幹線計画の推進

1.超電導リニアによる中央新幹線計画の意義
~健全経営と安定配当を堅持して計画を推進

L0(エル・ゼロ)系
当社は、自らの使命であり経営の生命線である首都圏~中京圏~近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため、超電導リニアによる中央新幹線計画を全国新幹線鉄道整備法(以下、「全幹法」という。)に基づき、進めています。

現在日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線は、開業から半世紀以上が経過し、大規模改修工事等を講じてきてはいますが、将来の経年劣化による大幅な設備更新に伴う運休等のリスクが存在します。また、日本は地震大国であり、東海道新幹線では耐震補強等の対策を講じてきていますが、大規模地震により長期不通となるなど、大規模災害のリスクも存在します。このため、これらに対する抜本的な備えとして、東海道新幹線とともにその役割を担う中央新幹線について、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現して、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。この中央新幹線計画の完遂に向けて、東海道新幹線と在来線における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、コストを十分に精査しつつ、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。
時速500km走行により東京~名古屋間は最速40分、東京~大阪間は最速67分となり、中央新幹線と東海道新幹線で結ばれたひとつの巨大都市圏が誕生します。また、中央新幹線の実現は日本が他国にない発展のための強固な基盤を得ることを意味し、経済の活性化だけでなく、豊かで多様な暮らしの実現という新たな可能性をもたらします。
さらに、中央新幹線の開業によって、現行の東海道新幹線のご利用の一部が中央新幹線にシフトするため、東海道新幹線に「ひかり」、「こだま」の増発・増停車など、新しい可能性が生まれます。

2.計画の進捗状況

中央新幹線は当社の自己負担により、まずは品川・名古屋間の工事を進め、その開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に速やかに着手する計画としています。
全幹法の手続きは下図の通りに進み、2011年5月に国土交通大臣により東京都・大阪市間の整備計画が決定された後、当社はその計画に基づく建設の指示を受けました。そして、第一局面として進める東京都・名古屋市間において、2014年10月に国土交通大臣より工事実施計画(その1)の認可を受け、その後工事を開始しました。
なお、2021年4月には品川・名古屋間の総工事費が当初の見込み額である5.52兆円から7.04兆円となる見通しを発表しましたが、工事費増を織り込んでも、工事の完遂に必要な資金を確保できることを確認しており、当社としては、健全経営と安定配当を堅持しつつ、今後とも中央新幹線の早期実現に向けて、計画を推進していきます。

全国新幹線鉄道整備法の手続きの流れ

品川・名古屋間の工事については、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視し、沿線各地で精力的に工事を進めています。これまでの設備投資額は、工事実施計画の認可を受けた2014年度から2022年度までの合計で1兆5,268億円となっており、契約済の工区延長の合計は、2023年9月末時点で、品川・名古屋間286㎞のうち約9割(山梨リニア実験線を含む)となっています。

各地の工事(2023年9月末時点)

超電導リニア技術のブラッシュアップおよびコストダウン

1.山梨リニア実験線における取組み

鉄道の世界最高速度を更新
L0系改良型試験車

当社は、従来から、中央新幹線を実現する際には、その先進性や高速性から超電導リニアの採用が最もふさわしいと考え、技術開発を進めてきました。超電導リニアの技術開発は、1997年4月に山梨リニア実験線において走行試験を開始して以来、その技術レベルが各段階で評価されています。2009年7月の国土交通省の超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会(以下、評価委員会)において、既に営業運転に支障のないレベルに到達していることが確認され、2011年12月には、国土交通大臣により超電導リニアに関する技術基準が制定されました。その後も継続して走行試験を続け、2017年2月の評価委員会において、営業線に必要な技術開発は完了していると改めて評価されました。そして、2020年8月からは、営業車両の仕様策定に向け、L0系改良型試験車による走行試験を開始しました。引き続き、高温超電導磁石の運用安定性の検証、ICT技術等を活用した保守の効率化等、さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップおよび営業線の建設・運用・保守のより一層のコストダウンに取り組んでいきます。

2.超電導リニア体験乗車

2014年から、「超電導リニア体験乗車」を実施し、累計約12万人の方々に速度500km/h走行を体験していただいており、「乗り心地が良い」「早期の営業線開業を望む」といったご感想をいただくなど、超電導リニア技術の完成度の高さを実感していただいています。2022年からは、L0系改良型試験車による超電導リニア体験乗車を実施し、中央新幹線の開業に向けた期待感の醸成に取り組んでいます。

3.超電導リニアの原理

  • 推進の原理
    ガイドウェイの推進コイルに電流を流すことにより磁界(N極・S極)が発生し、車両の超電導磁石(N極・S極を交互に配置)との間で、引き合う力と反発する力が発生します。これを利用して車両(超電導磁石)が前進します。
  • 浮上の原理
    ガイドウェイの側壁両側に浮上・案内コイルが設置されており、車両の超電導磁石が高速で通過すると両側の浮上・案内コイルに電流が流れて電磁石となり、車両(超電導磁石)を押し上げる力(反発力)と引き上げる力(吸引力)が発生します。
  • 案内の原理
    ガイドウェイの側壁両側に設置された浮上・案内コイルは、車両が中心からどちらか一方にずれると、車両の遠ざかった側に吸引力、近づいた側に反発力が働き、車両を常に中央に戻します。