私の創造

中央新幹線開業に向け、妥協なき姿勢で超電導磁石の開発に取り組む。

総合職(車両・機械)
齋藤 広太

仕事

開発に携わってきたすべての人の想いを受け継ぎ、リニア車両の完成度を高める。

世界をリードする高速鉄道の開発に携わる喜び。

2027年にまずは品川から名古屋までの開業に向けて、JR東海が全力を挙げて取り組んでいる超電導リニアによる中央新幹線。従来の鉄道車両が車輪とレールの摩擦を使って走るのに対し、超電導リニアでは超電導磁石の力で得た浮上力・推進力を使って超高速走行を実現します。私が従事するのは、そのコア技術のひとつにあたる超電導磁石の開発。在来型鉄道車両の輪軸に相当する重要機器であるため、開発に妥協は許されません。メーカーや周辺機器の担当者と協議を重ね、試験、性能評価を繰り返しながらリニア車両の完成度を高めるべく、仕様の検討に取り組んでいます。
現在最高時速500kmという高速走行を実現している超電導リニアの研究がスタートしたのは1962年。試験車両にはこれまで開発に携わってきた関係者すべての努力が結集されています。その歴史を振り返ると、私の貢献は微々たるものと畏敬の念を抱かずにはいられませんが、それでも、設計に携わってはじめて完成した試作機を目の当たりにしたときの感動と感慨は忘れることができません。また、その試作機を初めて搭載した車両の試験走行が始まる前のワクワクとドキドキが入り混じる緊張感、無事に目標速度を達成したときの安堵感を今も鮮明に覚えています。
前例のないものへの挑戦には多くの困難が伴いますが、世界をリードする一大事業の最終局面に携わる喜びが、仕事のやりがいとモチベーションにつながっています。

 

全体最適の視点で車両の完成度を高めていく。

私が仕事をするうえで大切にしているのは、「責任感」と「俯瞰的視点」です。開発に妥協を許せば、開業後の安全・安定輸送を脅かしかねません。自身の行動や判断が後々まで大きな影響を与える可能性があることを自覚し、ひとつひとつ慎重かつ確実に作業を進めるよう心がけています。また、多くの部門がかかわる車両開発においては、部分最適ではなく全体最適を考える視点が不可欠です。たとえば、一つの機器だけを見て最適設計してしまうと、全体で見れば過剰な性能となっており、他の機器に悪影響を及ぼすこともあるかもしれません。そのようなときは一歩引いて俯瞰し、全体最適の視点から重視すべき点を探ることが大切だと感じています。メーカーや社内関連部署など、すべての関係者が納得できる答えを追求する姿勢が鉄道事業者の設計部門には求められます。
鉄道の仕事にひとりの力で完結させられるものはありません。チームを超え、部署を超え、ときには職種も会社も超え、さまざまな人と協同して大きな仕事を成し遂げるのが面白みのひとつでもあります。積み重ねた努力が結実して形となり、ゆくゆくは世に出て、現在の東海道新幹線のように多くのお客さまにご利用いただき、社会になくてはならないものとなっていく。また、私自身がそうであったように、子ども達にかっこいいと夢を感じてもらえるかもしれません。そのような展望を描けることが、この仕事の最大の醍醐味であると考えています。

 

キャリア

実際にモノに触れ、自分の目で見て、手を動かすことの大切さを体得。

'11-4月入社 新入社員研修、現場研修
社会人としての振る舞いやJR東海の社員として必要な知識、そして鉄道に携わる者としての心構えを学びました。寝食を共にし、楽しいことも大変なことも一緒に乗り越えた同期との絆は、会社人生の宝となっています。
'12-5月東海鉄道事業本部 名古屋工場
在来線車両のオーバーホールを一手に引き受ける工場で、台車の検修作業や資材業務の効率化に取り組みました。在来線の車種の多さに戸惑い、仕事を覚えるのに苦労したことを覚えています。すべての作業に妥協を許さず、徹底した確認を行うことが、日々の安全・安定輸送につながることを実践で学びました。
'13-6月中央新幹線推進本部 リニア開発本部 山梨実験センター 車両基地
リニア車両に浮上力や推進力を与えるために必要不可欠な超電導磁石の保守体制を立ち上げる業務を担当しました。経験工学と言われる鉄道技術において、超電導磁石は従来なかったもの。
営業線を見据えた効率的な検査項目や検査方法など、会社としてのノウハウを作り上げる業務に携われたのは貴重な体験です。実際にモノに触れ、自分の目で見て、手を動かすことの大切さを学びました。
'14-4月中央新幹線推進本部 リニア開発本部取材当時
超電導磁石の設計開発を担当していました。試験計画の企画から関係各所との調整、計測準備、取得データの分析、性能評価を実施の上、詳細仕様を決定するまでの一連が私の仕事。日々たくさんの人と議論を重ねながら、将来中央新幹線で使用する超電導磁石の完成に向けて取り組みました。
'20-7月新幹線鉄道事業本部 三島車両所
新幹線車両の日常点検や修繕を行う中間基地で、現場管理者として作業管理や社員管理を担当しました。お客さまに最も近い営業線最前線の現場で日々感じた緊張感は今でも忘れられません。雨の日も風の日も雪の日も、毎日の東海道新幹線の安全安定輸送が如何にして守られているのかを身をもって学びました。
'21-7月新幹線鉄道事業本部 東京交番検査車両所
新入社員の配属職場でもある職場で、教育担当の管理者として若手社員の指導育成、業務研究等の各種活動の支援を担当しました。1年間という短い時間ではありましたが、“思い”をもって指導にあたり、それに応えて皆が大きく成長していく姿を見ることができ、大変やりがいのある仕事でした。
'22-7月中央新幹線推進本部 リニア開発本部 山梨実験センター
再びリニア関係の仕事に戻り、走行試験だけでは評価しきれない超電導磁石や地上コイルの特性・耐久試験を行う職場の管理運営に携わっています。これまでの仕事で得た知見や経験をもとに、職場の仲間と議論や相談を繰り返しながら、安全安定に質の高い試験が行えるよう日々取り組んでいます。

これからめざすもの

超電導磁石の開発経験を生かし、技術的な視座から会社施策の企画や立案に携わるのが目標です。新しい技術を積極的に取り入れる土壌を耕し続け、総合職として経営的な視点を持ちながら会社全体の更なる発展に寄与できるよう、幅広い見識を養っていきたいと考えています。

プライベート

  • 毎年恒例の同級生との旅行会
    大学時代に同じ学科だった同級生と毎年旅行に出かけます。写真は、2019年の年末に熱海へ行ったときのもの。卒業後、10年経っても当時と変わらず飲んで食べて笑って、気の置けない友人たちとの貴重な時間です。
  • ハワイを満喫!
    2019年、新婚旅行でハワイへ行きました。青い海、青い空、ゆっくり流れる時間。何回訪れても飽きない場所です。これまではオアフ島一辺倒でしたが、いつかハワイ島を訪ねて満天の星空を見るのが夢です。
齋藤 広太

Profile

齋藤 広太

総合職(車両・機械)
中央新幹線推進本部 リニア開発本部 ※取材当時
2011年入社
開放環境科学専攻修了