営業施策

より便利なサービスの提供と、さらなる需要の喚起をめざして

営業施策概要

JR東海では、より多くのお客様に東海道新幹線・在来線をご利用いただけるよう、さまざまな取組みを行っています。
取組みは多岐にわたりますが、主に「東海道新幹線・在来線の利便性向上」、「観光需要の喚起」の二つの取組みに分けられます。

利便性向上のための取組み

EXサービスの拡充

東海道新幹線の利便性を向上させることを目的に、ネット予約&チケットレス乗車サービスである「エクスプレス予約」「スマートEX」(以下、「EXサービス」)のサービス拡充に取り組んでいます。
EXサービスとは、スマートフォン等でご希望の座席を予約すれば、専用のICカードや、交通系ICカード等を自動改札機にタッチするだけで新幹線にご乗車いただけるサービスです。駅のきっぷうりばに立ち寄る必要がなくトータルの移動時間を大幅に短縮できる上、東海道新幹線をチケットレスでご乗車いただくと、ご利用区間等に応じて「EXポイント」が貯まり、様々な用途にご利用いただけます(一部の会員には適用されません)。また、予約は、発車前であれば何度でも手数料なしで変更できるため、急なスケジュール変更があっても安心してご利用いただけます。

ビジネス等で頻繁に新幹線をご利用されるお客様向けには、一年中会員価格でご利用いただける会員制の「エクスプレス予約」を提供しています。帰省や観光目的、訪日外国人の方など、普段あまり新幹線をご利用にならないお客様にもネット予約・チケットレス乗車サービスをご利用いただけるよう、年会費無料の「スマートEX」を提供しています。「スマートEX」は、お持ちのクレジットカードと全国相互利用対象の交通系ICカードを、スマートフォン等から登録していただくだけで、すぐにご利用いただけます。これにより、より多くの方に便利に新幹線をご利用いただけるようになりました。2023年には会員及び登録者数が1,200万人に到達し、現在、両サービスを合わせた指定席に占めるネット予約の割合は、全体の半数近くとなっています。(2022年度)

2021年3月からは、訪日外国人向けQRコードによるチケットレス乗車サービス、複数人でのご旅行の際のチケットレス乗車サービス、遅延が発生した列車の指定席予約・変更サービスの提供を開始しました。また、2022年6月には、EXサービスの九州新幹線(博多~鹿児島中央間)へのサービスエリア延伸を行いました。さらに、2023年10月からは、乗車直前まで新幹線を変更可能で、チケットレスで新幹線に乗車できる旅行商品「EX旅パック」や、宿泊施設や観光プラン、レンタカー等をシームレスに予約・決済いただける「EX旅先予約」を展開し、加えてEXサービスでは、1年前から新幹線の指定席をご予約いただけるようにしました。これらの仕組みの中でお客様にとって魅力的な商品を提供することで、ビジネス・観光の両面でサービスを向上させ、将来のご利用の増加と収益拡大につなげていきます。

「スマートEX」ポスター
スマートEXのご利用イメージ

交通系ICサービスの充実

JR東海では、2006年11月の交通系ICカード「TOICA」の導入以降、利用エリアの拡大、相互利用の拡大、電子マネー機能の追加などに取り組み、2013年3月には主要な10の交通系ICカードによる全国相互利用サービスをスタートしました。これにより、いずれかの交通系ICカードをお持ちいただければ、各事業者のエリア内における鉄道・バス等へのご乗車が可能になりました。2021年3月には、より多くの方にICサービスをご利用いただけるよう、「SuicaエリアとTOICAエリア」「TOICAエリアとICOCAエリア」をまたがる区間のTOICA定期券やTOICA の新幹線定期券の発売を開始しました。今後も、TOICA利用エリアのさらなる拡大等を行い、順次サービスを拡充します。

観光需要喚起のための取組み

お客様の動向やニーズをつかんだ新たな営業施策を積極的に展開

「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン「南禅寺」ポスター
地域やターゲットごとに様々なキャンペーンや商品を展開し、多様な情報媒体・販売チャネルを通じて観光需要の喚起に取り組んでいます。当社エリアの最大の観光資源である京都・奈良については、「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン(1993年~)や「うましうるわし奈良」キャンペーン(2005年~2021年)、「いざいざ奈良」キャンペーン(2022年~)等、継続的なキャンペーンを地元や旅行会社とともに実施し、主に首都圏から関西圏への新幹線のご利用を促進しています。このほか、東京、横浜、静岡、愛知、飛騨高山、伊勢志摩等を対象とした魅力ある商品設定に取り組んでいます。

2020年夏からは、「定番」から時間、場所、旅先での移動手段や行動をずらした、これからの新しい旅の楽しみ方、「ずらし旅」の提案による需要喚起を図っています。また、ご自身の「推し」に会いに行く「推し旅」をアニメやゲームをはじめとした各種コンテンツ事業者等と協力し、新しい内容にアップデートして提案するキャンペーン「推し旅アップデート」、東海道新幹線を号車単位で貸し切り、車内でオリジナルイベント等を実施できる「貸切車両パッケージ」を展開するなどお客様の動向やニーズをつかんだ新たな営業施策を積極的に展開しています。

観光列車・さわやかウォーキング

「さわやかウォーキング」
ポスター

在来線のご利用促進を目的として、人気の秘境駅を巡る「飯田線秘境駅号」などの観光列車の運行や、当社沿線の観光スポットを歩いて巡る、予約不要・参加費無料の「さわやかウォーキング」などを開催しています。さわやかウォーキングは、1991年に開始して以降、累計で約599万人(2023年12月末時点)の方にご参加いただいています。

その他ターゲット別施策(「S Work車両」・「お子さま連れ車両」)

ターゲット別施策として、「S Work車両」や「お子さま連れ車両」を展開しています。
2021年10月より、ビジネスパーソン向けの「S Work車両」を開始しました。これは、「のぞみ」「ひかり」「こだま」の7号車指定席を、モバイル端末等を気兼ねなく使用して仕事を進めたいお客様向けの専用車両として販売しているもので、ワークスタイルに応じた移動時間をお過ごしいただけます。
また、東海道新幹線「のぞみ」の一部列車の指定席に「お子さま連れ車両」を設定しています。周囲に気兼ねする心配なく、ご家族でご乗車していただけるようサービスを開始しました。年末年始や夏休み期間など、帰省等の遠距離でのご旅行にもご利用頂けるようにしています。

訪日外国人旅行者向けの取組み

東海道新幹線のご利用促進については、新幹線そのものの魅力や新幹線で訪問できるエリアの魅力を伝え、ご旅行のためのサービス・商品展開を行っています。「スマートEX」の訪日外国人向けサービス「Tokaido Sanyo Kyushu Shinkansen Online Reservation Service」では、英語版ウェブサイト(一部の国・地域ではアプリも配信)により、世界各国・地域からオンラインで予約し、日本到着後はチケットレスで乗車が可能で、便利かつ気軽に東海道・山陽・九州新幹線をご利用いただけます。また、往復の新幹線と宿泊等をセットにした旅行商品「FLEX JAPAN」も展開しています。在来線については、沿線の自治体や他の交通事業者等と連携し、「高山・北陸」等の訪日外国人のお客様に人気のエリアを対象とした周遊きっぷを設定・販売し、総合的にインバウンド需要の喚起を図っています。これらの情報は訪日外国人向けウェブサイト「Central Japan Shinkansen/Train Portal」に集約し、お客様のニーズや旅行スタイルにあわせて選べるようにしています。
これらの取組みに加えて、案内の充実を図るため、タブレット端末等を用いた放送、運行情報を充実させた当社ホームページや駅ナンバリング等を活用した案内に取り組んでいるほか、駅や東海道新幹線、特急「ひだ」「南紀」での無料Wi-Fiサービスを提供しています。