私の創造

地域のお客さまに安全で快適な走りを提供するために。

プロフェッショナル職(高専卒)(車両・機械)
清水 健太

仕事

プロの目で、ほんのわずかな変化も見逃さない。

車種によって車輪の摩耗も異なる。

JR東海の在来線は、1日に約100万人ものお客さまにご利用いただいています。そのすべてのお客さまに安全で快適な車両にお乗りいただくことを使命に、私は車両の検査計画の管理を担当しています。
具体的には東海道線、飯田線の車両について、全般検査など車両のオーバーホールを行っている名古屋工場への入出場計画を調整しています。また、車輪の摩耗状態を把握し、その削正計画を立てることも重要な仕事のひとつです。
在来線は当社の社員も通勤のために利用していますが、不快な揺れを感じると、そうした社員や運転士から私のもとに連絡が入ります。こうした揺れは車輪が摩耗したことで発生することが多く、測定機によって確認後、車輪を削るなどの対応を行います。
以前、新車を導入した際、運転士から横揺れの報告があったために車輪を確認したところ、想定以上に摩耗が進行していたことがありました。走行試験では営業運転よりもブレーキを多用するため、摩耗の進行が早かったと考えられます。また、在来線は山間線区が多く、ブレーキを多用するため、どうしても車両の摩耗が進みがちです。車輪の削正計画を管理する立場として、こうした点にも細かな配慮が必要だと感じております。
約100万人のお客さまに快適にご利用いただくために、ほんのわずかな変化も見逃さないようにしています。

 

新旧の車両がともに走る在来線。

今でも鮮明に覚えているのが、入社2年目に新型車両の走行試験に検査員として参加したことです。営業運転終了後に全線区を走るため、走行試験は一度きりしかできません。わずかなミスも許されないプレッシャーのなかでの厳しい仕事でしたが、緊張感を持って検査の仕事に取り組む大切さを学ぶことができました。あの時の経験は、間違いなく現在の仕事に活かされています。
在来線の大きな魅力のひとつが、さまざまな種類の車両が走っていることです。機械制御の古い車両もあれば、電子制御の新型車両もあり、それらが同じレールを同じ条件で走っているわけです。新型車両は電気的なブレーキを採用していることもあって、車輪の摩耗度合いが違います。そうしたことに配慮しながら最適なタイミングで車輪削正を行うための管理方法も、考案しなくてはなりません。
新旧さまざまな車両に接していると、いずれは自分の手で在来線の新型車両を設計する仕事に挑戦したいという気持ちがわいてきます。この夢をかなえるためにも、今は検査計画管理の仕事を通じて在来線車両について究めていきたいと考えています。

 

キャリア

在来線の車両と向き合ってきました。

'06-4月入社、新入社員研修
チームワークや規律意識の重要性を学びました。他系統の社員と一緒に学んだことで、系統の垣根を越えて安全・安定運行を支えていることが実感できました。
'06-6月名古屋工場 台車職場(現:台車センター)
車軸軸受の組立や台車装置の組立に携わりました。台車は車両の走行安定性や安全性を支える重要な装置であり、かつバックアップがありません。ボルト1本のゆるみも許されないという厳しさを学びました。
'09-4月名古屋車両区
気動車の交番検査や技術管理を担当しました。車両区では検査した車両がすぐにお客さまを乗せて運用されるため、ひとつのミスがすぐに運用に影響を与える可能性があります。非常に重い責任を実感しました。学生時代によく利用した「ワイドビュー南紀」を自分の手で検査・修繕した際は、自分が乗った車両もこうして先輩が検査・修繕してくれていたのだという感慨がありました。
'10-7月東海交通機械株式会社(出向)
全般検査や重要部の検査を行っている関係会社に出向し、より専門的な技術の習得に取り組みました。知識だけでなく、関係会社の方々と人間的なつながりができたことは、私にとって大きな財産です。
'11-7月名古屋工場 教育センター
名古屋工場教育センターで、新入社員に対する在来線車両系統の教育を担当しました。人に教えるには、自分が内容をしっかり理解しておく必要があるため、教わるよりも、教えることが自分の成長につながることを実感しました。
'14-7月大垣車両区取材当時
電車の検修を初めて行うにあたり、気動車との違いに戸惑うことがありましたが、今後の業務のための大きな経験になりました。また、踏切事故や自然災害での復旧作業等に多く対応したことで、車両のメンテナンスとともに異常時に対する備えが必須であると実感し、復旧訓練や車両構造の指導を実施してきました。
'18-4月東海鉄道事業本部 車両部検修課 車両指令
東海総合指令所にて列車の運行可否判断、応急処置指示などの指令業務に携わりました。安全を最優先に迅速、最善な対応が求められましたが、今までの経験を活かす貴重な立場でしたので非常にやりがいを感じました。
'21-7月名古屋車両区
技術管理班総括として区員への技術指導、検修計画の策定・指示等を実施しています。2022年7月にはHC85系営業運転開始を全区員の力を結集し完遂しました。また、車両指令で得た経験を活かして、最善な対応、判断を実施するとともに、後輩育成に取り組んでいます。

これからめざすもの

現在の車両は“移動のための手段”としてお客さまに利用していただくことがほとんどですが、将来は“乗ることが目的となる車両”をお客さまに提供できるようにしたいです。

プライベート

  • 子育ても楽しんで取り組んでいます
    2歳と0歳という2人の男の子がいます。休日などには、積極的に子どもたちと一緒に遊んでいます。上の息子は現在足こぎ自転車に挑戦中。来年は一緒に釣りに行けたら、と考えています。
  • ラグビー部の一員として
    会社のラグビー部に所属しており、練習や試合に汗を流しています。ポジションはフォワード。愛知県のリーグに参加しており、試合に向けて各地から仲間が集まって練習します。仕事を離れた、こうした交流も楽しいものです。
清水 健太

Profile

清水 健太

プロフェッショナル職 高専卒(車両・機械)
東海鉄道事業本部 大垣車両区 ※取材当時
2006年入社
機械システム工学科卒