私の創造

中央新幹線を通じて「移動」の新しい価値を創造したい。

総合職(電気・システム)
伊藤 友貴

仕事

新たなインフラを通じて、日本の発展に貢献する。

開発した技術を中央新幹線の設備仕様に反映する。

私が所属するリニア開発本部では、超電導リニアに関する技術開発を担当しています。その中で私は、超電導リニアの列車制御、特に地上車上間の無線通信技術に関する開発に携わっています。現在は開発の成果を中央新幹線の設備仕様へ落とし込んでいく業務に重点を置き、これまで山梨リニア実験線で汗をかきながら検証してきた成果を仕様として明文化していくことに、この上ないやりがいを感じています。策定した仕様書は、後世の社員に受け継がれるものとなるため、正確性とともにその仕様に至った背景などにも配慮して記載することを心掛けています。
超電導リニアのシステムは、各系統の技術が連携することで初めて成立します。そのため車両・施設といった他系統の社員との活発なコミュニケーションは欠かせません。自分の専門分野を相手に分かりやすく伝えることが求められる反面、他系統の技術について幅広く学べる環境であることは、リニア開発本部の特徴の一つです。
私はJR東海が社会に与える影響の大きさに惹かれ、入社を決めました。JR東海には「日本の大動脈の発展に貢献する」という使命がありますが、中央新幹線というビッグプロジェクトは、まさにそうした使命を具現化するものです。プロジェクトの一員として自分も確かな足跡を刻んでいることに、大きな誇りを抱いています。

 

組織を動かし、マネジメントする力を身につける。

入社以来最も印象に残っているのは、東海道新幹線の運行を支える現場の1つである東京信号通信所で実施した業務研究です。入社3年目のことでした。
私は設備保全業務の経験を振り返り、設備故障の兆候をとらえて事前に対策を施せば、異常時対応の社員負担の軽減、東海道新幹線のさらなる安全安定輸送に貢献できると考えました。そこで大学時代に学んだ知識を活かし、人間の目では判別が難しい故障の兆候をとらえる手法を提案しました。これはCBM(状態基準保全)と呼ばれる概念ですが、当時はマイナーな考え方であり、私の提案に対しても懐疑的な意見がほとんどでした。そこで私は、誰もが理解できる説明が必要であると考え、専門知識がない人でも理解しやすい資料を作成するとともにフィールドテストでその手法の可能性を実証。職場の人々の理解へとつなげていきました。この経験から、組織を動かすには丁寧な説明と実際の行動が不可欠であると学びました。管理者としてグループをマネジメントする現在の自分につながる、貴重な経験でした。
これまで超電導リニアの技術開発に携わってきたことから、中央新幹線をよりよい形で開業させ、日本の大動脈の発展に貢献することが自分の使命だと感じています。中央新幹線は、人の移動に新たな価値を提供することになるでしょう。そうした価値の創造こそ、私が生涯をかけて取り組んでいくべきテーマであると考えています。

 

キャリア

専門分野の異なる社員との関わりを通じて、視野を広げてきました。

'10-4月入社、新入社員研修、現場研修
同期入社の仲間とともに、JR東海の社員として必要な知識、心構えを学びました。系統を超えた同期とのつながりは、今も自分自身にとっての貴重な財産となっています。
'11-6月新幹線鉄道事業本部 電気部 信号通信課
東海道新幹線の信号通信部門を統括する部署において、設備の保全作業や各種工事の内容について学びました。
'11-7月新幹線鉄道事業本部 東京信号通信所
東海道新幹線における信号通信設備の保全に携わり、日々の安全安定輸送を支える鉄道現場の厳しさを肌で実感しました。東海道新幹線全線の信号通信設備を集中制御する中央装置の保全も担当しましたが、この経験は、現在の超電導リニアの技術開発や中央新幹線の仕様策定業務にも活きています。
'13-7月中央新幹線推進本部 リニア開発本部
超電導リニアの列車制御、特に地上車上間の無線通信技術に関する開発を担当しました。自分自身の担当分野も含め、初めて接する超電導リニアの技術に関して勉強する毎日で、あっという間の2年間でした。開発目標を達成した際の喜びはこの上ないものであり、それが次の開発目標への原動力になったのを覚えています。また業務上、電気・システム系統以外の社員との関わりも多く、仕事の視野が広がりました。
'15-7月中央新幹線推進本部 リニア開発本部 山梨実験センター
山梨実験センターにおいて、列車制御に関わる設備の保全、走行試験における指令業務などを担当しました。実際に超電導リニアの設備に触れられる唯一の職場であり、開業後の設備保全のあり方や指令業務等についての見識を深めることができた貴重な期間でした。
'16-9月総合技術本部 技術企画部(総務省派遣)
総務省に派遣され、地域放送の普及に向けた施策、電波法の改正に関わる業務に従事しました。ここで培った電波法に関する知識は、中央新幹線の設備仕様を決定する現在の業務に不可欠なものとなっています。また、総務省職員や他社からの出向者との交流により、自身の視野や考え方を広げることができました。
'18-7月中央新幹線推進本部 リニア開発本部取材当時
中央新幹線開業に向けた技術開発、仕様策定に携わりました。山梨実験センターでの経験を通して得た設備運用、保全の知識、総務省派遣を通じて培った見識をもとに、機能面だけでなく、保守性や汎用性など幅広い視点でリニア技術に向き合いました。
'21-7月新幹線鉄道事業本部 静岡統括電気所 静岡電気技術センター
東海道新幹線の静岡駅を中心とする沿線約40kmにおける、電気設備の保全業務に携わりました。総括助役という立場であったこともあり、設備の保全業務だけでなく、社員の育成管理、対外折衝、職場環境の改善等、職場全体の課題解決・職場運営にも携わることができ、管理職としての見識を深めることができました。
'22-7月新幹線鉄道事業本部 名古屋統括電気所
東海道新幹線の名古屋地区(豊橋-米原)における通信設備の保守・工事を統括する業務に従事しました。また、地区内の工事計画策定に加え、工事に必要な予算要求・予算管理、工事設計者の指導や、工事完了後の検査業務等を担当し、各電気技術センターや関係会社の方々とも連携を図りながら、業務を推進しました。
'23-7月新幹線鉄道事業本部 企画部
コロナ禍で加速した社会の変化に対して、東海道新幹線をより便利で快適な競争力の高い輸送サービスとすべく、需要喚起等の各種施策や技術開発、防災関連業務といった、東海道新幹線全体に関わる計画の策定・推進に関する業務に従事しています。また、各種施策を進める上で鉄道他社や公的機関との協議等、対外的な窓口も担っています。

これからめざすもの

現在は東海道新幹線のサービス向上に関わる業務に従事していますが、これまで培った経験、ノウハウを最大限に活用し、将来は中央新幹線の建設業務や、開業後の保守運営業務にも挑戦したいと考えています。

プライベート

  • 車で九州まで旅行しました
    車の運転が趣味です。家族もドライブが好きなので、週末はよく車で出かけています。去年のゴールデンウィークには東京から九州まで旅行しました。プライベートでは鉄道以外の乗り物に触れることでいい意味での刺激をもらい、時には業務上のヒントを得ることもあります。
  • 子どもたちの成長がモチベーションです
    子どもが2人いて、近くの公園でよく遊んでいます。子どもの成長は本当に早いもので、日々、できることが増えていくことに驚かされます。その姿を目の当たりにし、自分も負けてはいられないという気持ちが、仕事のモチベーションにつながっています。
伊藤 友貴

Profile

伊藤 友貴

総合職(電気・システム)
中央新幹線推進本部 リニア開発本部 ※取材当時
2010年入社
基礎工学研究科システム創成専攻修了