- プロフェッショナル職(大学卒)(車両・機械)
- 佐戸井 優希
日々の地道な積み重ねが、安全安心の進化につながる。
「なぜ」を突き詰めた先に、改革への道が見えてくる。
私の勤務する浜松工場では全般検査を行っています。全般検査とはクルマの車検に相当するもので、3年4か月または160万km以内の周期で車両全体を解体して細部を点検するという大がかりな検査です。私はこの全般検査に対して、安全確保を大前提としつつ、新たな発想・技術を取り込むことを意識し、最適なメンテナンス方法を追及しています。具体的には新幹線車両で使用している各機器について、検査周期を延伸できないか、車両から取り外さずにメンテナンスできないか等を、現物を見ながら見直しています。
大切にしているのは、目の前にある「常識」を当たり前と思わないことです。現在行われているメンテナンス作業の中には、過去の実績・経験を踏まえてずっと同じ方法で行われてきたり、車両の進化に伴って過剰になっている作業もあるかもしれません。これらを所与のものとはせず、まずは「なぜこのような作業になっているのか」という疑問を持って見直してみることが大切だと考えています。「なぜ」を突き詰めていくことで、作業の本質が理解でき、最適化への新たな道が見えてくるからです。こうした最適化への取り組みを通じて、効率化や低コスト化を進めていくことが私の使命です。
大勢のお客さまを乗せて長い距離を走り抜けてきた新幹線車両と向き合い、各機器の細部に至るまで詳しく見られるのは、全般検査を行っている浜松工場ならではの醍醐味です。部品の中には劣化しているものもあれば、まだ十分使えそうなものもあります。入念な点検によってそれらを見極めて、万全の状態で新幹線車両を送り出してあげることは、本当に大きなやりがいです。
何ごともなく走る車両の姿こそ、誇らしい。
駅のホームや沿線で、東海道新幹線が何の問題もなく時刻表通りに走っている姿を見るとき、私の心は誇らしさでいっぱいになります。お客さまや地域住民の皆さんにとっては「当たり前」の光景ですが、その当たり前を守ることに私たちの存在意義があるからです。もし新幹線車両の不具合によって列車の遅れや運休が生じたとなれば、多くの方にご不便を強いて、ご迷惑をおかけします。そんなことにならないよう、私たち全般検査に携わる社員をはじめ、多くの社員が日々の地道な取り組みを続けています。その積み重ねの上に成り立っている「当たり前」だからこそ、とても尊いものだと感じます。
感染症の流行などにより人の移動が制限されることもありましたが、やはり人と人が直接会って笑顔で向き合い、心を通わせることには、オンラインには換えられない価値があると思います。家族や友人と一緒に、行きたい場所を訪ねるのも素晴らしいものです。そのような時間を大勢のお客さまに提供できる今の仕事が、私は大好きです。
新幹線車両は常に進化を続けており、乗心地をはじめ、車内の快適性も格段に向上しました。しかしまだまだ改善の余地はあると感じています。将来、子育てをする女性ならではの視点や感性も活かし、あらゆる世代のお客さまにとってより安全安定で快適な車両の開発に挑戦したいと思います。
新幹線車両とともに成長してきました。
- '10-4月入社、新入社員研修
- 会社知識や車両知識の基礎について勉強しました。さまざまな課題も、同期と励まし合いながら乗り切ることができました。また、イベントを通して仲間との一体感の大切さも学びました。ここで出会った仲間には今でもいろいろと助けてもらっています。
- '10-6月浜松工場 教育センター
- 車両の知識を深め、技術力の基礎についても学びました。実際の新幹線を見ながらの講義もあり、車両に対する理解を深めることができました。また、電気ぎ装や高所作業車、フォークリフトの運転資格などメンテナンス作業に必要な技術を習得しました。
- '10-7月浜松工場 部品職場
- 主にブレーキ制御装置のメンテナンス作業を担当しました。自分の手で車両の安全を守っているのだという実感を得ることができました。
- '12-7月東海交通機械株式会社 浜松事業所 第二部品課(出向)
- 関係会社に出向し、ブレーキ制御装置の空制弁のメンテナンス作業を担当しました。機器の専門性を高めることができた上、出向先で人脈を広げることができたことは、大きな財産となっています。
- '13-7月浜松工場 部品職場
- 前回の在籍時とは異なり、さまざまな機器の品質管理を担当することになりました。これまで培ってきた専門知識を活用して業務に携わっていきました。
- '14-4月浜松工場 研究分析センター
- 主に新幹線のブレーキ関係機器の研究を担当。実際の車両を模擬した検証装置を使用し、さまざまな試験を行いました。その結果をメンテナンスや設計にフィードバックすることで、車両の品質の向上に貢献しました。
- '15-7月技術開発部 計測技術チーム
- 主に低騒音風洞を用いた空力特性等の測定や研究を行っていました。これまでとは違い、在来線部門にも携わることができ、さらに他系統とのつながりもできました。
- '17-7月技術開発部 高速技術チーム
- 台車開発グループに所属し、乗心地に関する開発を担当しました。車両運動総合シミュレータという試験装置を用いて、実際の車両の乗心地を再現し、どの条件が最もよいかを数字と体感の両面から評価しました。
- '18-7月技術開発部 車両制御チーム
- 新幹線車両のブレーキシステムの開発を担当しました。試作品を製作して動作確認や耐久試験を行うなど、ブレーキ性能を向上させることに取り組みました。
- '20-6月分べん休暇・育児休職
- 子供と過ごす時間は、仕事とは違う大変さもたくさんありましたが、日々の成長を楽しみながらのんびり過ごすことができました。復職に向けて、保育所は早めに探し始め、希望通りの保育所に入れることができました。また、親族が近くにいないため、保育所から呼び出しがあった場合にどう対応するかを、夫とシミュレーションして備えました。
- '22-7月浜松工場 業務改革推進センター取材当時
- 新幹線車両の全般検査について、メンテナンス方法の効率化のための業務改革に向けた取り組みを行っています。
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- 家族の時間を大切にしています
- 休日は家族で出かけることが多いです。近くの公園に行ったり、おいしいものを食べに行ったりと、子供にたくさんの経験をさせてあげたいと思っています。もうすぐ2人めが生まれるので、これからは4人でいろいろなところに旅行するのが楽しみです。
Profile
佐戸井 優希
プロフェッショナル職(大学卒)(車両・機械)
新幹線鉄道事業本部 浜松工場
業務改革推進センター ※取材当時
2010年入社
工学部卒