私の創造

安全安定輸送を仲間とともに根底から支えていく。

総合職(電気・システム)
椿 健太郎

仕事

列車の安全性に、さらなる磨きをかけていく。

「ドクターイエロー」の後を受け継いで。

JR東海では、列車速度が許容運転速度を上回った場合に、自動的にブレーキを作動させて速度を低下させるシステム・ATC(自動列車制御装置)の更新プロジェクトを進めています。10年以上の年月をかけて、東京から大阪までの設備を計画的に更新するという重要なプロジェクトで、私はその一員として新旧設備の切換手法や体制の検討、更新工事全体における事故防止、関係各所との調整などを行っています。新旧設備の切換当日には数百人の作業員が、翌朝の初列車まで夜を徹して作業と新設備の機能に問題ないことの確認を行いますが、その際は私も現地を統括します。現在私が準備を進めているのは東京─品川間のATCの更新工事で、万が一にも失敗が許されない工事に参画していること自体に、やりがいを感じています。工事完了後、初列車を見送る際の想いを想像するだけで、今から気持ちが奮い立ちます。
また、多くの人々に惜しまれつつ引退を迎える「ドクターイエロー(新幹線電気軌道総合試験車)」に代わり、一部の営業車に地上設備の状態監視機能を搭載し、設備の検査を担うことになりますが、この施策の推進について、信号設備の担当として取り組んでいます。「ドクターイエロー」では約10日に1回走行して設備データの計測を行っていましたが、営業車による検査ではより高頻度に計測を行うことが可能になり、膨大なデータが得られるようになります。私はその取り扱いや日々の計測データの活用方法などについて関係各所と調整を進めているところです。
ATC更新工事も営業車による地上設備計測も、東海道新幹線の安全・安定輸送を根底から支える重要な取り組みであり、数十年に一度と呼んでいいプロジェクトです。その両方に携われる巡り合わせに感謝しつつ、大きなやりがいを感じています。

 

現場で汗を流す仲間のために。

現在は東海道新幹線の業務に携わっていますが、以前携わっていた在来線のプロジェクトも印象に残っています。JR東海の在来線では、踏切道などで異常が発生すると、特殊信号発光機と呼ばれる信号設備が発光して運転士に異常を知らせています。この特殊信号発光機が生い茂った草木などで隠れてしまうと、異常を運転士に伝達できなくなり、重大な事象につながる可能性があります。現在、特殊信号発光機の見通しが確保されているかの確認は、作業員が現地で行っています。ただし、特殊信号発光機は全線で9,000機以上もあり、人手による検査には膨大な労力を要しています。そこで、この検査を自動化することを目的に、私が開発に携わっているのが、列車の運転台にカメラを設置して特殊信号発光機の見通しが確保されているかを判定するシステムです。
当初は専門外の画像解析技術の勉強から始めるような状況でしたが、試行錯誤しながら取り組む中、ユーザーとなる現場の社員から期待の声をいただきました。在来線の日々の運行を支えている仲間たちのために尽くしたいという気持ちが、私の最大のモチベーションとなっています。
今後もメンテナンスの自動化や設備の変更などを通じ、施工会社の方も含めて一緒に働く仲間たちに、より安全で働きやすい環境を提供したいと考えています。

 

キャリア

在来線と東海道新幹線の現場で、多くの学びを得ました。

'17-4月入社、新入社員研修
新入社員研修を通じて、社会人や鉄道人としての基礎を学びました。さまざまな課題に一緒に取り組むことで、同期と深い関係を育むことができました。
'17-6月東海鉄道事業本部 工務部信号通信課
在来線の信号通信部門を統括する部署で、当社の在来線職場の業務の大きな流れを学ぶことができました。初めての夜勤など慣れないことも多かったのですが、先輩社員にさまざまな職場へ連れて行っていただき、人間関係を構築しました。
'17-7月東海鉄道事業本部 大垣信号通信区
在来線の信号通信設備の保守や、設備取り替えの工事監督を担当しました。自分の手を動かして保全の方法や設備構成を学ぶことができました。作業を終えた後に初列車が走る様子を見て、自分が輸送を支えているという実感を得ました。
'18-7月新幹線鉄道事業本部 関西支社 大阪信号通信所
東海道新幹線の信号通信設備の保守を担当しました。初めて新幹線関係の職場で業務に携わり、東海道新幹線の社会的影響の大きさを肌で感じました。
'19-7月新幹線鉄道事業本部 関西支社 工務部電気課
関西地区における東海道新幹線の電気部門を統括する部署に配属となり、社員教育、施策推進に伴う関係箇所との調整業務に従事しました。関西支社に配属された新入社員への教育に際し、「本当に現場で必要となる教育は何か」を課内で議論し、一から教育内容について見直しました。
'20-7月公益財団法人 鉄道総合技術研究所 信号技術研究部 信号システム研究室(出向)
研究機関である鉄道総合技術研究所に出向し、信号設備に関する研究を行いました。JR他社の社員と人間関係を構築できたほか、研究のスペシャリストに研究業務の基礎を学びました。
'22-7月総合技術本部 技術開発部 メンテナンスイノベーションチーム
東海道新幹線と在来線の信号設備に関する研究開発業務に従事し、主に画像やセンサデータを用いたメンテナンスの自動化に取り組みました。画像解析技術や機械学習などのデータ分析技術は、AIにより目覚ましい発展を遂げており、鉄道事業にどのように適用していくか、多くの社員とアイデアを出しながら開発を進めました。
'24-7月新幹線鉄道事業本部 電気部信号通信課取材当時
ATCの更新工事を統括する部署に配属となりました。ATC更新という大規模プロジェクトを着実に推進するため、関係各所との調整業務や事故防止の指導などに取り組んでいます。

これからめざすもの

将来的には、リニア中央新幹線の開業に向けたプロジェクトに携わってみたいと考えています。私自身が関西出身ということもあり、特にリニア中央新幹線の大阪延伸に向けた建設工事に興味があります。

プライベート

  • よさこいに熱中!
    学生時代から続けている、よさこいを楽しんでいます。現在は約200名が所属する大阪の社会人チームに所属し、毎週末、妻も一緒に大阪まで出かけて練習に励んでいます。2024年には名古屋で開催されたコンテストで優勝し、内閣総理大臣賞を受賞しました。仲間と一緒に汗を流した結果の受賞は、涙が出るほど嬉しかったです。
  • ベトナム旅行を楽しみました。
    まとまった時間があるときは、国内外を問わず旅行に出かけます。写真は、ベトナムのハノイにあるトレインストリートと呼ばれる場所です。線路脇にカフェが並び、1日に数本の列車が走行しています。日本ではなかなか見られない光景だったので、旅行先の中でも特に印象に残っています。
椿 健太郎

Profile

椿 健太郎

総合職(電気・システム)
新幹線鉄道事業本部 電気部 信号通信課
2017年入社
工学研究科 電気電子工学専攻修了