私の創造

高い技術力と妥協なき判断。一つひとつを慎重に積み重ね、最大の使命「安全」を守り抜く。

総合職(施設)
綿貫 健文

仕事

軽微な変化を見逃さない。たくさんの目が働く職場風土を醸成する。

「安全安定輸送」という“当たり前”の継続に欠かせない協働力。

すべての鉄道が安全、かつ正確に定時運行している。この日本ではそれが当たり前のこととして受け止められています。その当たり前を継続していくため、構造物のわずかな変化に気付き、健全度を判定し、必要な補修計画や設備更新を遅滞なく実施するのが、我が部署の仕事です。「安全最優先」の姿勢にもとづき、ときには進行中の工事計画を止めてでも対応しなければならないこともありますが、いま必要なことを妥協なく遂行する、という強い責任感を胸に、所長として所員と一丸となり、日々の業務に取り組んでいます。
責任を行動に移す過程で最も大切だと感じるのは、チームワークです。東海道新幹線の新横浜駅から小田原駅間、約25kmの安全確保は、到底だれかひとりで担えるものではありません。約30名の所員はもちろんのこと、関係会社の方々とも積極的にコミュニケーションをとり、社内外問わず速やかに情報共有がなされる風土醸成を心がけています。たくさんの目を働かせ、軽微な変化を見逃さずに問題解決するスタンスが、保線業務の基本。特別なことではなく、「線路脇の門扉の建て付けが少し悪くなったかも」というレベルの情報から自然に共有されるような職場環境、人間関係の構築が、大きな安全の実現に結びつくと考えています。

 

華やかさの裏にある堅実な企業文化に共鳴して入社を志望。

「生活に密着した仕事につきたい」と考えていた私にとって、当社のインターンで夜間のレール更換作業に立ち会った経験は大変印象深いものでした。100名近い作業員が協力し、約1,000mにおよぶレールをほんの数時間で手際よく更換する様子を見て、普段、当たり前に利用している鉄道の安全が、地道な作業の繰り返しで守られていることをまざまざと感じた瞬間だったからです。始発までの限られた時間内で、ミリ単位まで正確に敷設することが安全運行の実現には不可欠。日本の大動脈と称され、リニア中央新幹線など、華やかに見えるサービスと安全安定輸送の裏には、それを支える高い技術力と一歩一歩地道に積み重ねていく企業文化が息づいていました。勉強してきた土木工学の知識を活かして自分も支える一員になって貢献したい。そう考えたのが入社を志望した理由です。
入社3年目に配属された施設部保線課では、地震対策チームで東海道新幹線の脱線防止ガード敷設工事の計画を作成し、承認を得るまでの業務を経験しました。計画作成と一言でいっても、施工能力に関する現場との調整、施工位置の選定、予算部門との調整など、多岐にわたる裏付けが必要なため、非常に多くの時間と労力がかかります。最終的には、当初の計画を大幅に上回る450km近くの工事が承認され、大きな達成感を味わえたのですが、何より「安全対策には最優先で投資する」という企業姿勢を体感できたことがかけがえのない喜びとなりました。
入社して12年を過ぎ、年々確信を深めているのは、インターン中に惹かれた企業文化や風土は勘違いではなかったということ。就職活動を通してさまざまな会社を訪ねましたが、同じ業界でも企業ごとに不思議なほど色合いが異なります。事業内容に魅力を感じても、実際の空気や雰囲気が自分には合わないと感じることも少なくありませんでした。就職活動中の皆さんには、会社を訪ねたり、先輩社員に面会したりと、何らかの形でリアルな空気に触れ、納得のいく企業へ応募してほしいと思います。何年たっても自分の原点に立ち返り、この選択をしてよかった、と思えることほど、仕事を続けるうえで心強いことはありません。

 

キャリア

幅広い領域の業務を経験。留学も視野の広がりにつながっています。

'09-4月入社、新入社員研修
乗務員研修を含め約半年間、三島研修センターで社会人としての基礎的な業務スキルや乗務員に必要なルールを習得しました。学生から社会人へと大きく環境が変化する日々を同期とともに乗り越え、絆が深まりました。当時の学びが、今に通ずる仕事の仕方の原点となっています。
'09-9月関西支社 大阪第二運輸所
新幹線の運転士免許を取得し、約1年弱の期間、運転業務に従事しました。お客様の輸送に直接携わる経験は、技術系社員にとって大変貴重です。現在、従事する設備の維持管理業務において、お客様の安全はもちろん、お客様がどのように感じるかという視点で取り組めているのは当時の経験によるところが大きいと思います。
'10-5月関西支社 鳥飼保線所
初めての施設系統の業務として、新幹線の車両所や本線の保線業務を経験しました。線路の維持管理の基本である検査業務やレール更換工事を担当しました。初めてレールを更換し、翌朝無事に営業列車が通過したときの緊張感は今でも忘れられません。
'10-12月静岡支社 富士保線区
新幹線に続き、在来線の保線業務に従事しました。同じ保線業務でも新幹線とは仕事の仕方やルールが大きく異なり、特に在来線は作業時間が短いため、作業員の安全を確保する難しさ、大切さを実感しました。
'11-7月関西支社 工務部施設課
関西地区施設系統のオフィス部門で、若手社員の教育や保線工事の管理に取り組みました。現場が円滑に業務遂行できるようサポートし、業務の仕組みを整備するのがオフィス部門のおもな役割です。現場とのコミュニケーションを深め、協力関係を構築しながら仕事を進めるよう心がけました。
'12-7月新幹線鉄道事業本部 施設部保線課
新幹線の保線業務の企画、管理を行う部署で、東海道新幹線全線の地震対策の工事計画の策定と工事の管理、設備投資の予算管理業務などに取り組みました。地震対策工事においては研究開発部門と何度も工法を検討し、最終的に現場に適用するまで「本当にこれで脱線を防ぐことができるのか」と反芻しながら慎重に判断を下す大切さを学びました。
'14-7月総合企画本部 投資計画部
新幹線の保線・土木部門に関連する設備投資計画の作成や予算管理などを行いました。一つひとつの会社施策に対して仲間とともに構想を練り、成案化していく難しさと、承認された際の達成感を味わいました。実施可否を判断する会社幹部の考え方に触れられたことも貴重な経験です。
'17-7月人事部人事課(海外留学)
ニューヨークのコロンビア大学に留学し、建設マネジメントの修士号を取得しました。世界各国の土木技術者とともに学び、最先端の技術や理論の修得だけでなく多様な考え方やスタンスに触れ、社内だけでは得られない多くの視点が養われました。また、現地の建設会社とAI企業との共同研究で新技術導入のプロセスに携わり、建設業界の最前線を体感しました。
'19-5月新幹線鉄道事業本部 小田原保線所
軌道材料更換工事の担当管理者として部下社員とともに老朽化したレール更換をはじめとする設備の維持更新、脱線防止ガードの敷設工事を行いました。ともに工事を推進する関係会社の安全管理強化、作業スケジュールの管理も先導し、決められた工期での完遂にチーム一丸で取り組みました。
'20-2月新幹線鉄道事業本部 湘南保線所取材当時
東海道新幹線の新横浜駅~小田原駅間、約25kmにおよぶ区間を担当する保線所で、所長として所員約30名とともに土木構造物、軌道設備の維持管理や設備更新作業に携わりました。
'22-7月東海鉄道事業本部 施設部 保線課
在来線線路の検査管理やルールの整理、将来の保線業務の構想検討等を担当しています。新しい技術を取り入れながら、安全な線路設備の提供と効率的な業務推進を両立できるよう検討を進めています。

これからめざすもの

時代の流れに合わせて設備や仕事の仕組みを改新しながら、安全性とサービスの向上に貢献していきたいです。将来は、中央新幹線の建設や高速鉄道の海外輸出に携わってみたいと考えています。「人」とかかわることが好きなので、採用業務にも魅力を感じています。

プライベート

  • 留学で2年間の海外生活を体験
    ニューヨーク在住時は家族で近所のセントラルパークを散策したり、市民は無料となるメトロポリタン美術館などの美術館・博物館巡りを楽しんだりと、貴重な海外生活を満喫しました。写真は、マンハッタンの南にあるガバナーズアイランドを訪れたときのものです。
  • 海・山・温泉で自然を満喫
    いま住んでいる神奈川県西部地域は相模湾、丹沢、箱根と豊かな自然に囲まれているため、休日は家族とともに海・山・温泉を楽しんでいます。これまで転勤でさまざまな場所に住みましたが、その場所その場所を目一杯満喫するのが我が家のスタイルです。
綿貫 健文

Profile

綿貫 健文

総合職(施設)
新幹線鉄道事業本部 湘南保線所 ※取材当時
2009年入社
工学系研究科 都市工学専攻修了