- プロフェッショナル職(高専卒)(車両・機械)
- 竹内 玲央
伝統を受け継ぎつつ、在来線の新しい可能性に挑戦する。
約30年ぶりの新車導入に携わる喜び。
2022年7月1日、ハイブリッド方式である新型特急車両HC85系がデビューしました。記念に特急『ひだ』1号の出発式が名古屋駅で行われ、私もホームでのお客さまのご案内などで立ち会うことができました。お客さまは皆さん笑顔で真新しい車両に乗り込み、中には「いい車両ができましたね」と話しかけてくださる方も。普段はお客さまと接する機会が少ないこともあって、その言葉は私の心に染みました。
HC85系車両を営業車として使用するためには、定期検査体制整備を整えなければなりません。そこで私は約2年間にわたる走行試験において、車両としての基本性能を確認するとともに、検修体制構築プロジェクトを結成して、定期検査の施工体制や検査内容について検討してきました。また試験走行車によって取得した大量の車両データを分析し、不具合予兆を早期に検知して故障を未然に防止する手法の策定も行いました。従来の車両にはなかったハイブリッドシステムの採用であり、どの機器をどのような手法で健全性の担保をしていくべきか、手探りでのチャレンジでしたが、HC85系車両の安全を支えるという気持ちでチームの仲間とともに一つひとつ乗り越えてきました。
在来線の新車導入は30年程度に一度という大きな出来事です。そこに携われた巡り合わせには喜びと感謝しかありません。歓声の中、名古屋駅を出発した『ひだ』。堂々と巣立っていくHC85系車両の後ろ姿を見送りながら私は、在来線の日々の安全運行を支えるものとしての使命感を新たにしました。
自分の手で車両を守り、支えているという実感。
私が在来線車両に携わりたいと思ったのは、在来線こそ鉄道の“原点”だと思ったからでした。
在来線は車種が多様で、仕様は細かく異なり、走る線区の違いによって受ける影響もさまざまです。山間区もあれば雪の影響を受けやすい場所もあります。動物との衝突が珍しくないのも在来線ならではで、大型の野生動物にぶつかられて車両が変形することもあります。被害が大きくて動けなくなったときは、現場に急行して応急的な修理も行いました。こんなふうに実にさまざまな出来事に遭遇するのが在来線車両の特徴で、私たちは日頃の検査からトラブル時の対応、修理まで一貫して携わっています。もともとものづくりが好きで、学生時代に機械工学を専攻した私にとって、こうして自分の手を動かしながら一つひとつの車両を最後までちゃんと面倒を見られることは、非常にやりがいのあることです。
現在私が担当しているのは、検査修繕業務の管理・改善やHC85系に関する施策などです。検査計画や修繕計画が適切に行われないと検査切れによって本線走行できない車両が発生し、ひいては営業列車の運行に支障が生じかねません。常に緊張感を持って取り組んでいます。
またHC85系車両の検査体制整備も大きな課題です。従来の気動車とは大きく異なるハイブリッドシステムを搭載しているため、メンテナンスについても従来通りとはいきません。HC85系車両は、今後30年は走ることになると思われるので、修繕計画策定もこれから30年にわたって使われることを前提に取り組んでいます。その時間の重みも、在来線の安全を支えているという誇りにつながっています。
在来線一筋にキャリアを重ねてきました。
- '10-4月入社、新入社員研修
- 高専時代に寮生活を経験していたので、戸惑うことなくスタートできました。時間厳守やルール厳守など今では当たり前の習慣として身につけていることを、この研修で学びました。
- '10-5月東海鉄道事業本部 名古屋工場 台車職場
- 台車組立班で検修業務に従事しました。お客さまの安全は自分の手にかかっていることを実感し、一つひとつの作業の重要性を学びました。同時に仲間の安全も守らなくてはならないということを、安全管理業務によって知りました。
- '13-7月日本車輌製造株式会社(出向)
- グループ会社に出向し、車両の製造に携わりました。車両についての深く専門的な知識に触れ、技術力が向上したと実感しました。また、車両設計にも興味を抱くようになりました。人脈が広がったことは大きな財産です。
- '15-7月東海鉄道事業本部 美濃太田車両区
- 在来線気動車の交番検査や臨時の不具合等に対応する機動班を担当しました。自分がメンテナンスした車両は、すぐに営業列車としてお客さまをお乗せして走り出します。その責任の重さを実感しました。
- '17-12月東海鉄道事業本部 名古屋車両区取材当時
- 在来線気動車の交番検査や臨時の不具合等への対応のほか、HC85系車両の検査関係の業務に携わっています。
- '23-7月東海鉄道事業本部 車両部 検修課
- 在来線車両の不具合防止対策の推進や各現場作業の教育・指導業務に携わっています。お客さまに安心してお乗りいただくために、車両不具合を如何にして減らすかを常に考え、重要な役割を担っていることを日々感じながら業務にあたっています。
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- 優勝を目指しています
- 会社のサッカー部に所属しています。ポジションはセンターバックです。プレーを通じて他系統の社員交流できることは、面白みの一つです。目標はオールJR大会での優勝です。
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- 趣味は読書
- 読書が好きで、時間があれば本を読んでいます。ジャンルにこだわらす何でも読んでおり、ベストセラーもチェックします。ミステリーも大好きです。年間50冊は読んでいると思います。
Profile
竹内 玲央
プロフェッショナル職(高専卒)(車両・機械)
東海鉄道事業本部 名古屋車両区 ※取材当時
2010年入社
機械工学科卒