プロフェッショナル・ストーリー ~のぞみを走らせる4つのワークストーリー~

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運輸系統 東京第一運輸所 岩本 大佑 2012年入社/外国語学部英米語学科卒

運輸系統 東京第一運輸所 岩本 大佑プロフィール

世のため、人のために働きたい。
その時頭に浮かんだのが
東海道新幹線。
信条はGive&Give。
その価値観に最もしっくりくる働き方がJR東海なら可能だと思った。

「実は運転士には、なりたくなかったんです」
車掌、駅係員を経て、
そろそろ運転士へとステップアップしようかという時のこと。
人と接することが大好きで、接客こそ天職と信じて疑わなかった岩本は、
“運転士になりたくない”と口走ってしまう。
上司は「運転ができてこその接客もあるんだぞ」と叱った。
「意味がわからなかったです、その時は」岩本は振り返る。

東海道新幹線1編成でお運びする1,300人以上のお客さま。
ホームでその顔を見るたび、自分の手でその命をお預かりするという重さに、
岩本の心は震える。

運転中もお客さま一人ひとりの顔を浮かべながら、ノッチを操作する。
“なるほど、これが運転士としての接客か”
上司の言葉の意味が、今はよくわかる。

車掌として、車内で多くのお客さまに接してきた。
禁煙席希望なのに間違えて喫煙席を買ってしまったお客さまには、空いている席までご案内。
重い荷物を持って一緒に移動した。
改札口でEX-ICのタッチがうまくいかずに乗車されたビジネスパーソンには、車内でその処理を行った。
「“ありがとう”という言葉が返ってこなくてもいいんです。お客さまのお役に立てれば」

名古屋駅に勤務していた時、ベビーカーを押したご夫婦が指定席を買えずに肩を落としていた。
「満席でお席をご用意できずに申し訳ありません」
岩本はそう声をかけ、荷物を持ってホームまで付き添い、博多駅からの「のぞみ」なら自由席に座れるかも、とご案内。
数日後、そのご夫婦はわざわざ岩本を探し当て、お礼を口にされた。
「嬉しかったですね。今も忘れられません」

見返りは求めない。ただ、人が喜んでくれればそれでいい。
それが岩本の人生観にして職業観だ。

岩本は、自動車販売業を営む父の背中を見ながら育った。
無理な相談を持ちかけられても、父はいつも「なんとかするわ」と笑い、顧客のために汗を流した。
その父は、いつも岩本に向けて笑顔でこう話した。
「仕事は、世のため、人のため。見返りを求めたらアカン」
だから岩本の心にあるのはGive&Giveの言葉。

人に感謝されるために仕事をするんじゃない。
ましてやお金のために働くんじゃない。
ただ人に尽くすこと。
それが岩本にとっての“仕事”ということなのだ。

「新大阪−東京を結ぶって、ただそれだけで世のため人のためじゃないですか。
これ以上自分にぴったりの職場はないと思います」 

運転士見習い時代、岩本は大雨による輸送障害を経験した。
ダイヤが乱れ、新大阪駅で2時間以上待機した後、上り列車に乗務。
大幅な遅れの中、回復運転に努めつつ、普段は停まることのない箇所で停止したり、車掌との連絡を密にしたり。

初めてのことばかりで、岩本の心は不安でいっぱいだった。
だが、心の不安はきっとノッチ操作に現れ、停止時の不快感などとしてお客さまに伝わる。
岩本はそう思ったから、“しっかりしろ”と自分に言い聞かせて運転を続けた。

お客さま一人ひとりの顔を浮かべながら、お客さま一人ひとりのために全力を尽くす。
それが運転士としての接客。

「私たちが楽しく仕事をしてこそ、お客さまにも笑顔でいていただけると思うんです」

プロフェッショナル職として岩本は、後輩を育てていくという使命も担っている。
笑顔で仕事を楽しむことを伝え、後輩を活かしていきたいと考えている。

もちろんそこにも見返りは求めない。
人を育てるのも、岩本にとってはGive&Give。
「いつもニコニコしてるって言われるんですよ」
その満面の笑みで、これからも岩本は人に尽くしていく。

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